ノラネコの呑んで観るシネマ

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
若きサリンジャーが、某ハリウッドの大物に婚約者を寝取られた話とか知らなかった。
アメリカ文学史に名を残す天才は、なぜ突然作品を出版しなくなったのか。
名脚本家のダニー・ストロングは、監督デビュー作で作家の心に寄り添い、独特の物語論を描き出す。
人によって書く理由は異なるが、本作の核心は、彼の戦争体験がもたらしたPTSD。
映画の前半は作家志望のサリンジャーが、師のウィットと出会い、少しずつ認められていった矢先、戦争に駆り出されるまで。
後半は心に大きな傷を負った彼が、隠遁生活に入るまでを描く。
最初は多くの作家と同じく、世に出すことを目指していたサリンジャーは、やがて戦争の傷と向き合い、生きる力をとり戻すために書くようになる。
元々私小説作家の彼にとって、この流れは必然。
しかし著作が世間の注目を浴びることで、逆に心の平穏は遠ざかってしまう。
彼にとって、すでに書くことイコール世に出すことでは無くなっているのだ。
一人の作家の変化を、社会の出来事と重ね合わせることで丁寧に描いたのは興味深い。
出版業界の内幕も含めた、作家サリンジャーのクロニクルとしてもよく出来ている。
しかし、これ例の騒動の前に撮影されたのだろうけど、ケビン・スペイシーってやったことはクソだけど良い役者だよな。
劇中でサリンジャーが語る「芸術家はどこか欠けたところがある人間」て言うのを、自ら証明しちゃったのが残念でならない。
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