ぽん

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのぽんのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

“The catcher in the rye”を初めて読んだのは高校1年生の頃だった。だが、正直よくわからなかった。なぜ彼があれほどinnosenceに惹かれるのか、当時の自分には主人公がただ文句を垂れているだけのように映った。
今回の映画を見て、小説は良くも悪くも著者の人生そのものなんだと気づいた。
彼がinnocenceに惹かれたのは、一目惚れした女性が他の男と結婚したニュースを戦地で知ったことや、戦争で仲間がどんどん死んでいくのを見ていたからである。
また、彼が作家を志し始めてから、当然ながら自分の作品を売り込むわけだが、”The catcher in the rye”が売れてから、自分の身の安全が確保できなくなり、「乱されるものがあれば、それを取り除けばいい」という宗教の教えに従い、隠遁生活を送る。そこで、本の出版こそが自分の足を引っ張っているのであり、自分は出版することではなく書くこと自体に幸せを覚えると気づき、出版を拒否した。
「芸術家は常に完璧を求め、真の芸術家は何があっても生き残る」
彼はまさしく、生まれながらの作家だった。
ぽん

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