ダメハム

鋼の錬金術師のダメハムのレビュー・感想・評価

鋼の錬金術師(2017年製作の映画)
1.0
2017年の曽利文彦監督作品。原作既読。アニメ全話視聴済み。

主よ、私は大罪を犯しました。U-NEXTで550ポイントも使って、とんでもないものを見てしまいました。ほんの出来心だったんです。お許しください。


ある程度、覚悟はしていたけど、その予想をはるかに上回る、いや、下回るものを見せてくれた。原作のエピソードのおいしいところをつまんで一つの話に無理やり構成したもの。冒頭の音楽の激しい主張でもうげんなり。ヨーロッパの世界観で全員日本人の強烈な違和感。しかもモブはドラマ以下の演技。もちろんエルリック兄弟も金髪の日本人の子ども。悪夢だ。しかも子役の演技が舌足らず。

そして日本映画最高峰(笑)のVFXも使いどころがおかしくて笑ってしまう。山田涼介のださい走り方といい、教主との戦闘も歌舞伎の見得と過剰な演出で頭が痛くなる。賢者の石も原作と違ってどういう理屈で動いているのか分からない。そして、ディーン・フジオカ演じるマスタング大佐の第一声がカスカス声で吹き出してしまった。みんな映画じゃなくて舞台劇みたいな大仰な演技で見ていて恥ずかしくなる。どんなホラー映画よりも怖かった。

冒頭エルリック兄弟が人体錬成を行ったときは少年だったのに、回想、夢の中では、青年の姿で真理の扉のシーンを描いていたのが理解できなかった。そこは子役にやらせろよ。そして大泉洋のショウ・タッカーでもう駄目だった。ぬいぐるみみたいな質感のキメラもひどかったね。佐藤隆太演じるヒューズがエドに向かって「友達友達」と連呼する、大の軍人がうるせえ! ホークアイ中尉が終始だらけたアホ面なのもがっかり。

いろんな名シーンをちょこちょこ改変したりと最悪。緊迫したシーンにもかかわらず、日本映画おなじみの後ろで棒立ちになって黙って会話を聞いてる軍人たちの情けない姿よ。小日向文世演じるハクロ将軍の「世界の王になる」に失笑。結局1日にも満たないタッカーとハクロ将軍の関係とは何だったのか。原作を無視するむちゃな設定。賢者の石を使って?簡単に真理の扉まで行って啖呵を切って何も得ることなく戻ってくるという意味不明なことをするエド。そして、ラストの朝日を見上げる演出のだささは格別だった。 

視聴者をばかにしてるとしか思えないね。続編を匂わすラストも実に無意味。これが今の日本映画の実力。泣きたくなった。いや、泣いた。こんなものしか作れない日本映画の現実に心底絶望した。

てか、この画像に主人公の山田涼介演じるエドがいないのが一番怖い。
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