田中モリオ

男と女の田中モリオのネタバレレビュー・内容・結末

男と女(2016年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

色合いや空気感が好きな作品だった。
テンポも悪くない。
少し前に"失楽園"を観直したけど私はこっちの方が好みでした。

どうしても"不倫"しかもダブルでってとこばかり目立ってしまうけど、不倫にせよ殺人にせよそこには当人達にしか解らない"理由"や"動機"が必ずあり、その理由が本作では"障害を持つ子供"であり、愛してはいるが重荷でもある子を持つ事の難しさと、自分の幸せも考えたいという葛藤を上手く描けていたのではないかと思う。

しかしこればかりは大きな声では言えないが、不倫をした事ある人間でないとこの作品の見え方は違うだろうし、中々理解は難しいのではないかとも思う。
なので貞操観念が強く「不倫なんて有り得ない」と強く思う人はこの作品をどう感じるのか逆に観てもらった上で感想を聞きたい位だ。

話は戻って、私にとってこの作品の主役は"チョン・ドヨン"が演じる"彼女"であって"彼"ではなかった。
そう思える位に彼女の強さと弱さが痛々しい程汲み取れたし、トイレの水を飲もうとする我が子のシーンなんて、辛くて見ていられなかった。
逆に彼はそんな彼女の弱さにつけこんだ"現実逃避男"なんだろう。
「男なんて私を含めてみんな似た様なもんだ」と妙に納得してしまえるから不思議だけど。

それにしても韓国の女優さんって、見始めた時は「ん?」となるんだけど、中盤に「この人良いな」になり後半はもうドップリ「好きだわー!」になっちゃう事が本当に多い。
チョン・ドヨンの演技が本当に素晴らしく感動してしまったので、韓国映画界の女王とまで言われる彼女の他の作品もこれから観てみようと思う。
田中モリオ

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