しげる

猿女のしげるのレビュー・感想・評価

猿女(1964年製作の映画)
3.8
国立映画アーカイブのチネマ・リトロバート映画祭にて鑑賞。

初マルコ・フェレーリ。
演出上手すぎ。画もどれも決まってるし、なんてったって撮り方がエロい。
特に初夜シーン。絡みの芝居は一切ないのに、演出と照明の力のみでむちゃくちゃエロくなってる。
しかも関係性の変化を1カットでしっかり説明。
すごい巨匠じゃないですか。
他のも観てみよう。

イタリア公開版、ディレクターズカット版、フランス公開版の3種類のエンディングを上映。
それぞれ毛色が違って面白い。

イタリア公開版は死の床につくヒロインのカットであっけなくFINE。今ひとつ消化不良な終わり方だが、死にゆくヒロインのドアップは良い。

ディレクターズカット版は主人公のモラルのなさに血の気が引いたが、後から思えばこれぞネオレアリズモ。
人間ここまで残酷になれる、それ自体が悲劇。
しかしラストカットの痛ましいこと。
ラストカットが哀しい映画第1位はペキンパーの「ゲッタウェイ」だと思ってたのだが、それに並んだかもしれない。

フランス公開版は無難な落とし所。
他二つと違ってハッピーエンド。
これが観れなかったら胸糞もいいとこだった。
悲劇を好むイタリア人、教訓めいた話を好むフランス人。
しげる

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