Tully

メリー・ポピンズ リターンズのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『ウォルト・ディズニーの約束』(13)でその半生が語られた英国の女流文学作家:P.L.トラバースによる児童文学シリーズ「メアリー・ポピンズ」を原作としたジュリー・アンドリュース主演の名作ミュージカル『メリー・ポピンズ』(64)の54年振りの続編で、主演のエミリー・ブラントが風に乗ってやって来たメリー・ポピンズを華麗に演じています。前作から25年後、大恐慌時代のロンドンを舞台に、妻を亡くした上に経済的困窮で生きる希望を失ったバンクス一家のもとに、メリー・ポピンズが再び現れ、彼ら一家の窮地を救っていく過程を描いたもの。前作におけるバンクス一家の子供たちが立派な大人になって再登場する―「世代交代」が年月の流れを感じさせますが、一方でメリー・ポピンズは年老いておらず、大人になり変わってしまった子供たちと変わらないメリー・ポピンズが対比されています。前作で想像力や夢を持つこと、そして目には見えない大切なものの存在を忘れていた一家の主:ジョージ・バンクス。今回はその息子:マイケルが父親同様に“何かを忘れた”大人として描かれていて、本作は前作のテーマ&精神をそのまま引き継いでいます。メリーの魔法がマイケルの3人の子供たちを夢の世界に連れていく様子が前作同様「実写とアニメーションの融合」によりファンタジックに再現されていく一方で、子ども心を失った大人たちへのケアも前作と同じようにしっかり描かれています。主人公メリーを演じたエミリー・ブラントが厳しさと優しさを兼備した名演を披露していますし、大人になった姉弟を演じたエミリー・モーティマー&ベン・ウィショーも味わい深い演技を魅せています。メリーのいとこ役でちょっぴり顔を見せるメリル・ストリープや金の亡者として一家を追い詰める銀行家役:コリン・ファースもキャラの立った芝居をさすがの存在感で示しています。そして前作でミスター・ドース・シニアを演じたディック・ヴァン・ダイクがその息子:ミスター・ドース・ジュニア役で54年振りに再出演を果たしているのも感慨深い続編になっています。
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