コマミー

メリー・ポピンズ リターンズのコマミーのレビュー・感想・評価

3.9
【無くしかけたもの】

※こちらからのレビューで、申し訳ございません!もちろん前作も鑑賞済みです。↓

約50年の時を越えて、真新しく帰ってきた本作だが、前作[メリーポピンズ]では"厳格な家族"のあり方を、メリーが[音楽の魔法]を通じて、[楽しみ溢れる心]を、家族に与えていった作品になっていた。

ミュージカル映画の常識を変えた作品であったし、ウォルトの原作者のパメラに対する愛を感じさせた作品だった。

そんなミュージカル映画の名作を、ミュージカルの天才である、ロブ・マーシャルによって、今度は監督のロブによる、ディズニーへの[ラブコール]のような意味にも感じさせた作品であった。

そして何よりも、我々やディズニーにも通ずる、[無くしかけたもの]を与えてくれた作品なのかもしれない…。

前作から20年が経つなかで、世界は[恐慌]という物が訪れていた。不況により、人々は人生を[心から楽しめなくなって]いたのである。あの[姉弟]も、大人になり、弟のマイケルは子供も出来ていた。だが、マイケルは妻を亡くしていた。挙げ句に、[銀行]からは立ち退きも命じられていたり、[余裕]がだんだん無くなっていく。そんな中で、三人のマイケルの子供たちが、おつかいに行ってる時に、父親のマイケルが捨てた[凧]が飛んできて、末っ子のジョージーが捕まえて、飛ばしたら、雲が割れて、そこから人が舞い降りてくる。彼女が帰ってきたのである。

さぁ、無くしたものを探しに行こうと言うばりに…。


前作よりも、格段にランクが上がった仕上がりになったのだが、かつて同様、[アニメーション]の部分は、変わっていない。どこか懐かしく、今ではピクサーのような3Dアニメーションが主流となってる中で、本作はアニメーションの部分を[当時のまま]にしている。
自分はおそらくそここそが、現在のディズニーにも、我々観客にも伝えたかった、"無くしかけたもの"なのではないかと思う。時流が完全にコンピューターグラフィックで作ったものに移行していく中で、このような昔ながらの手描きで一コマ一コマ作っていた時代に戻すように、アニメーションの部分だけ、当時のものにしている事によって、ディズニーのミュージカルの名作そのものの、[素材の楽しみ]を与えてくれた作品なのかもしれない。

マイケル一家が、メリーと過ごすなかで、お金や家よりも大切にすべきな、[家族と過ごせることの充実さ]を見つけるように、ディズニーの[アニメーションとしての大切な要素]を見つけた作品なのかもしれない。

メリーポピンズを演じた[エミリー・ブラント]はと言うと、最高だった。彼女自身も、冷静な性格の女性を演じる事が多かったので、適任であった。メリーのカラフルな新しい装いも、時流にあっていて、暗すぎず、明るい気持ちになれた。これは、監督の[豪華な装い]に対する拘りからだろう。

一つ不満な点を挙げさせていただくと、[メリル・ストリープ]の配置である。あまりにも、あっさりと出番が終わったので、彼女の役の存在意味が、いまいち掴めなかったのが残念であった。

メリーポピンズが[完璧な女性]であるように、本作も前作の魅力も見事に散りばめられてて、ほぼ完璧な仕上がりだった。
ディズニーに対する期待に対する、[心の底に無くしかけたもの]を、我々に教えてくれた作品であった。


これも、ウォルトが監督に与えた、[大切な魔法]であったのかもしれない…。
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