とても穏やかではないストーリーを静かに描いていてこの作品の雰囲気がかなり好きだ。
あらすじやWikipediaを事前に読んでいたら、どんな下品なオバハンに誘惑されるのだろうと思ったら、とてもそんな人には見えない上品美人マダム。
僕は今までこの手の映画には、真相を明かさない怠慢と批判してきたが、この作品は違う。
これまでの明かさないタイプの作品は隠す部分を見る人の想像に委ねすぎていた。本作は終盤が近づくにつれ、主人公の知らないところで何が起きていたかが明らかになっていく。
しかし、それぞれの当事者の視点は想像に任されていて、これは見る人の人生経験(映画などで仮想体験したのも含む)が頭の中でストーリーを作らせる。一見隠しているようで、実はそれだけの材料は惜しみなく出している。
静かに進んでいくので、映画館で見たら序盤は失敗したなと思っただろう。劇場で集中して見ていた場合、見終えて何を思っただろう。
実は行きたかったが、年寄りが多そうでそれが嫌だった。映画館の迷惑老人ほど遭遇したくないものはない。