このレビューはネタバレを含みます
東西ドイツ統一記念日の本日、「手紙は憶えている」試写会@ 六本木に行ってきました〜!
BGMが絶妙で、不安と恐怖を煽ってきた。終始、私の心臓とか胃とか内臓がばくばくしてた。
「なになに、何が起こるの」って。
▼思ったこと
①長年、嘘(生きるための嘘)をついていると、身体の全細胞まで嘘が本当のことのように染み付いてしまうんだな。嘘というか記憶の入れ替えというか・・
→見解が分かれるかもしれないけど、私は彼は本当に認知症で最後の最後まで覚えていなかったと思いました。
(いやいや、って人の見解も聞きたいですー!)
②嘘をついた時のキーワードもまた身体に染み付いている。
→ゼヴ=狼、(あともう一個なんか思ったけど忘れました)、は認知症になってもスラスラと出てきていたこと。
③でもそんな長年の嘘も一つのキーワードで芋づる式に一瞬にして呼び起こされる。結局嘘は本当にはならない。
④ジョンコランダーがザ・アメリカ人の警官って感じでイメージ通り過ぎた。アメリカって移民の国なのにどうして「黒人」「ユダヤ人」「同性愛者」を受け入れられないの、っていつも思う。(歴史的に/キリスト教的に、とかではなく、もっと単純なところで。)
ジョンコランダーはゼヴの本当の過去を知ったら尊敬し、「もっと話を聞かせてくれよ!」と目を輝かせたのであろう。
捕らえる側と捕らわれる側、ユダヤ教と反ユダヤ教、同じ人間なのにこんなにも違う結末になるのか。同じ人間なのに、だなんて綺麗事ですが・・。
⑤「動物が死ぬ映画は見ない」と言ってるのに、見てしまった。それも大好きなシェパード。。でも残念ながらゼヴに感情移入していたので、悲しくはなかったです。
⑥音楽は嘘や記憶を越える。
→主人公ゼヴがピアノを弾くシーンは2箇所。私は、元々どんな映画でもピアノ独奏には感動しがちだから、2回目のワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」にまんまと心が揺さぶられていたら、まさかここがこんなに重要なシーンなんて。
・細胞までも嘘の自分になりきっていても、感性である音楽までは騙せない。(ワーグナーが反ユダヤなのはクラシック好きは誰でも知ってる有名なことですよね。)
⑦終始、現代のシーンで描かれていたのでとても見やすかったです。特に四人目のルディコランダーさんのおうちは華やかで映像も素敵だった。
私は義務教育の教科書で「アウシュビッツ」「ナチス」「ヒトラー」というテストに出るキーワードとして知ったから、大昔の遠くの国のことでしかないような気がしているけど、本映画は現代で描かれているからこそ、「まだ終わっていないんだな」と思った。この映画、とても苦しかった。
⑧「衝撃のラスト」と言われ過ぎて、途中で察しがついた。が、それでもちゃんと驚けたし、楽しめた。
長くなりました。。
久しぶりに映画館(風/試写会室)で見たら、やっぱり真面目に見入りますね。
とっても苦しくて手が震える映画だったので、帰ってワイン飲も〜。冷えたシャルドネとともに平和に浸ります。
これから見る人は「サーモンヴィーゼンタール」「クリスタルナハト」の意味を知った上で見た方がいいと思います。途中説明なしで物語りが進むので。
「そんな言葉もちろん知ってるわ」って方はとても楽しめる映画だと思います。