うめ

手紙は憶えているのうめのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.8
愛する妻ルースを亡くしたゼブ。
90歳ともなれば、認知症を患い曖昧になっていく記憶。
目を覚ます度に、妻の名を呼び探すゼブ。
その表情や慌てふためく様子から、いかに妻を愛していたか…彼女に頼っていたかが透けて見える。

そんな彼に、同じ老人ホームに入居しているマックスから告げられる共に交わしたという約束。
それは、アウシュビッツに関するものだった…
指示書を頼りに旅に出るのだが…
動きもゆっくりで、足取りも覚束ない。
途中で出会う人々とのやり取りも何か起きそうて不安で見ているのが辛い。
カバンの開け閉めさえもハラハラする程だ。
しかし、旅を続けているうちに見えてくる記憶は薄れていっても失われないもの。
身体は忘れないのだ。

自分の頭の中にある「記憶」
それは、高齢者だけに限った話ではない。
我々にとっても、本当にそれは確かなものか?

そして、最後に突きつけられる原題でもある「remember」
まだ、戦争は終わっていない。
それを忘れるな。
重いメッセージを、観ている我々に向けてもいるんだと思う。
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