菩薩

溶けるの菩薩のレビュー・感想・評価

溶ける(2015年製作の映画)
4.0
いやぁ、青い、若い、素晴らしい。自分も川沿いの育ちだし、高校の時はまんまスーパーの青果売場でバイトしてたし、この先自分はどうなるのだろうか?という先の見えないモヤっとした物に覆われた時は、よく川の流れをぼーっと眺め、何かを洗い流した気に成っていたものだ。田舎ゆえの閉塞感、周囲からの疎外感、家庭の中での孤独感、もちろん自分は男だから、周りが処女を捨てる中自分だけ置き去りにされる女子の気持ちなんかは分かりっこないが、田舎=大嫌いの思考回路は覚えがある。高校生の自分が何をしていたか?と聞かれれば、まぁ今思い出すとだいぶ背筋も凍るが、カート・コバーンに憧れたギター青年であった自分は、俺も27歳になったら死んでやるのだと心に決め、タバコを吸っては無駄にがなり立て喉を潰し、歪みに歪ませたギターを掻き鳴らしては、ひたすらレイプミーレイプミーと叫んでいたものだ。ただ毎日がつまらなかったし物足りなかった、恋人はいなかったし、不毛な片思いに日々を費やしていたし、ちょっかい出せる女の子はいたけど、ただひたすら毎日の様に自慰行為にふけっていた、って、あれ?その部分は今もさほど変わってない様な…。きっとこのまま普通に大学に行って、普通に誰かと結婚して、普通に歳を取って、普通に死んで…なんて思っていたあの頃が懐かしい(どこでどう間違えたんだ俺は…)。寂しさやストレスを何で紛らわすか、これは人間が生きていく上での至上命題であり、死ぬまで付いて回ってくる嫌な悪魔みたいなやつだ。どう生きるか、何をするか、そしてどこへ行くのか、んなもんそん時になって見なきゃ分からん!ってのが分かっただけでも、あの頃からちょっとは成長したのかなんて思う今日この頃。さて、若者よ、大いに悩め、悩んだ分だけ、成長するとも限らんがな、思考を停止した時こそ、人間としては終止符を打つべき瞬間だなとは常々思っている。逃げるも進むも、はたから見たら大して変わらない、若さは最強の武器、あぁ羨ましい…。
菩薩

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