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哭声 コクソンの1303のレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
1.5
映画を観る時間というのは人生において決して短くありません。まして2時間半〜3時間を費やすものであれば尚の事です。
久しぶりに時間を悪戯に浪費したと感じました。

サスペンスとしては論理的に破綻し蛇足過多、ホラーとしては演出が雑且つ稚拙、ジャンルムービーとしては半端な見せ場、会話劇としては只管退屈、ドラマとしては家族の軋轢や葛藤、愛憎、成長が皆無..またそれらに目を瞑ったとしても随所に差し込まれる何の意味もないコメディ要素は特に救い難いです。何ですかこれ。

中でも個人的に最も首を傾げたのは主題である「疑え。惑わされるな。」というフレーズ。
魅力的な挑発ですし過剰に期待してしまいますが事件の状況から論理的な疑惑が全く生まれないため終始主人公だけが周りを感覚で疑いながら右往左往し観客はそれに振り回される事だけに終始するので結果から考えると完全にミスリードではないでしょうか。

造形美やカメラワーク、ロケーションの美しさや不穏さ、閉鎖的な世界の土着性から来る薄気味悪さにわくわくする箇所も多かっただけに余計残念でしたし、また、作品の選択に於いて最大の参考資料となり得るティザーやパッケージからこの作品性を感じ取れない事も非常に遺憾です。

わかってる方にはわかる映画という事で面白いと感じられた方は心から羨ましいです。
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