キャッチ30

アリー/ スター誕生のキャッチ30のレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
3.8
あの名作の三度目のリメイクと聞いて、私は斜に構えた。鑑賞してみると胸を掴まれるほどではなかったが、一組の男女の栄光と挫折が上手く機能しているように見えた。

話はシンプルだ。カントリーロック歌手のジャクソンはあるバーでウェイトレスをしながら歌手を目指しているアリーと出遭う。アリーの歌声に魅了されたジャクソンは、後日アリーを自分のライブに招待し、ステージで歌わせる。そこからアリーはスターの階段を駆け上がっていくが、それに比例してジャクソンは堕落していく。

アリーの成長物語よりも、ジャクソンの転落に比重が置かれていたような気がする。ジャクソンは酒浸りの父の跡を追うようにアルコールとドラッグに溺れている。義兄との確執やアリーへの嫉妬と羨望がさらに拍車をかける。

監督も務めたブラッドリー・クーパーは悲哀と孤独を感じさせる。彼は役作りの為に終始声を低くし、アルコールに苦しんだ実体験を反映させている。
アリーを演じたレディー・ガガの存在も大きい。ガガは歌唱力や演技だけでなく、一糸纏わぬ姿まで曝け出している。クライマックスの"I'll Never Love Again"は心に残る。

些か物足りなかったが、王道のラブストーリーとしては有りだと思った。