OASIS

フッテージ デス・スパイラルのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

2.6

このレビューはネタバレを含みます

イーサン・ホーク主演で大ヒットしたホラー映画「フッテージ」の続編。
監督は「シタデル」のキアラン・フォイ。

前作の内容はイーサン・ホークが出ていた事くらいしかぼんやりと覚えていないが、そのイーサン・ホーク演じるオズワルト一家の事件に関わっていた保安官が主役的なポジションになり、新たな家族が悪魔の儀式に巻き込まれるというのが今作の展開。
スケールダウン感は否めなかったが音楽と映像でとことん驚かせてやろうというホラー映画に欠かせない意気込みは感じられる。

夫のDVから逃れるため、双子の息子ディランとザックと共に田舎の一軒家にやって来たコートニー。
しかしそこは、かつて忌まわしい事件が起こった曰くつきの物件だった。
ディランとザックは、近所の子供達に連れられて家の地下にある秘密の部屋で8ミリテープに記録されたある一家の惨殺映像を見せられる。
この辺りは前作の流れと同じだが、映画の尺が110分から90分とタイトになっている分前置きが短く、子供達が見る夢や8ミリテープ等映像による繋ぎでテンポ良く展開して行くのがリズミカルで良かった。
前作は前置きの長さにウンザリしてしまったのを記憶している。

子供を狙うという邪神ブグールに取り憑かれてしまった子供達によって「この映像を最後まで観ると悪夢を見なくなるよ」と唆された双子は、次第に目を背けていたその映像に興味を示すようになって行く。
前作同様、子供に乗り移ったという体の悪魔の姿がはっきりと見えてしまうのは恐怖が半減する部分である。
恐怖に怯えるディランと、悪魔に支配されてしまったザックという対照的な双子が主役となっている事で、天使と悪魔、光と影、純粋さと狂気という相反する存在を強調していて、「人の心に住む悪魔」や「悪魔のような〇〇」といった一括りにはできない多様性をもつ悪魔の恐ろしさを感じさせるものとなっていた。

かつてオズワルト一家と知り合いだった元保安官は、空き家となっている筈の家にコートニー一家が住んでいると知り接触を図る。
元保安官は、前作にこんな人出てたかな?というくらいの印象の弱さで、イーサン・ホークに比べるとスター性や画面に映った時の画力が段違いであった。
別居中の夫が現れ、コートニーの家に泊まる事になった保安官が彼女とイイ感じになるシーンでは、イイ事が起きる手前で直ぐに場面が切り替わるので特に見たいとも見たくないとも思わないラブシーンを見せられずに済んだという安心感があった。

夫に虐待を受けていたというディラン。
審理によって親権を取り戻した夫によって連れ帰られ、食卓でその暴力の一部を見せつけられるシーンでは「実際にこんな事が日常的に行われていたんだな」と居た堪れない気分に。
悪魔に支配されてしまったザックによって、一家団欒をぶち壊され惨殺されそうになる場面では、ディランの境遇があまりにも報われなさ過ぎていっそ死んでしまった方が良いのではとさえ思える。
強制的に父親と外出させられ一家団欒ごっこを強要されるなんて、ディランにとってはそちらの方が本物の悪魔よりもよっぽ悪魔的な光景に映ったのだろう。

最終的に悪魔の問題やら親権の問題やらが何も解決していないように思うが、まだ続編があるのだろうか。
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