Jimmy

高い壁のJimmyのレビュー・感想・評価

高い壁(1947年製作の映画)
3.5
パイロットの男=スティーヴが、頭を怪我した後遺症で酷い頭痛と記憶喪失に悩まされている。彼は、自分が妻を殺害したと思い詰めており、精神病院に収容されてしまう。
彼はアン医師の麻酔療法によって当時の状況を少しずつ記憶がよみがえって来るのだが……というサスペンス映画。
カーティス・バーンハート監督作品、なかなかの佳作。

記憶喪失ものサスペンスはわりと見かけるが、これは頭を怪我したため脳を怪我部分が圧迫して記憶障害が起こっているというブラックジャック風の展開。
そういえば、手塚治虫のブラックジャックにも『壁』というエピソードがあって、チャンピオンコミックス未収録だが、「人生には壁がある」というテーマの面白い作品だった。

さて、この映画は、頭の怪我で記憶障害を起こしたスティーヴが殺人犯として裁判に賭けられそうになるが、その前に精神科での治療が必要ということで、入院させられる。そして女医アンの尽力によって徐々に記憶を取り戻すと、「自分は妻を殺していない」と思えるようになってくる。それでは、真犯人は誰か……という流れになるが、スティーヴとアンの恋心の芽生え、雨の中のクライマックスなどなかなか良い。

そして、真犯人は殺された妻の会社の上司=不倫相手だったが、これが本当に悪い奴で、その殺人を察知しているアパートの管理人もエレベーターの底に突き落として殺してしまう非情な男。出世のために、不倫相手のスティーヴ妻を殺したのだが、それを最後に女医の持っていた薬で自白するが、それを刑事が大勢聞いているシーンなどはユニークである。

なかなかサスペンスらしいサスペンス映画であった。
Jimmy

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