まさなつ

幼な子われらに生まれのまさなつのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
3.8
祝、モントリオール映画祭審査員特別グランプリ受賞!

この知らせの後に観ましたが、館内はガラガラ、、^^; でも、受賞云々ではなく、とてもいい映画でした。

主人公の父親は、仕事より家族との時間を優先するようなサラリーマン。それもあって、40歳を超え、子会社に出向させられます。
一方、家庭は、お互いに再婚の妻とその連れ子2人の4人で暮らしていますが、元妻からは、「理由は聞くけど、気持ちは聞かないのね、あなたっていつも」とキツイ一発を見舞われ、連れ子の長女からは「あんたなんかお父さんじゃない。本当のお父さんに会いたい」とまで言われるしまつ。家庭を疎かにしてきたならともかく、大事にしょうとしてきたにもかかわらず、、。
さらに、いろいろあって、壊れそうなお父さんを観て、思わずスクリーンの中に入って肩をたたいて、「一杯行こう」って元気付けたくなりました ^^;

長女は小学校6年生。実の子でも難しくなる年頃。さらに、母親が妊娠して感情が揺れ動く。母親はなんでも父親に頼ってくるタイプだし。救いは元妻と暮らす実の娘くらいか、、。

でもですね、さすがに原作が重松清だけにそれぞれの人を悪人には描かない。多少ワガママなところはあるにせよ、それぞれの気持ちも痛いほど分かるんです。

だから、余計に父親が不憫に見えます。確かに空回りしてるとこや、元妻から指摘されるようなことがあるとしてもです。

離婚、再婚をへると家族といっても様々な組合せがあります。大人も子供もいろんな思いがあるのだから、他と同じ「家族のカタチ」にはめるのは、そもそも無理があるんだと思います。時間がかかっても、自分たちのカタチを模索するしかない。血が繋がっていても、いなくても、やっぱり家族は家族だから。

父親を浅野忠信。上手いです。ただ、シャツの第1ボタンは外して話をした方が 笑。母親の田中麗奈は、浅野さんからプロポーズを受けた時の間と表情がとっても良かった。泣かせどころでもあります。

泣けるシーンもありますが、キチッと現実の厳しさも見せるラストがいいです。
まさなつ

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