千年女優

ワンダー 君は太陽の千年女優のレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.0
トリーチャーコリンズ症候群を伴って生まれたがために27回もの手術を受け、自分の顔に強いコンプレックスを持つ少年オギー。惜しみない愛情を注いでくれる両親と姉のいる家での生活から一歩を踏み出して小学五年生で初めて学校へと通いだした彼の姿を家族や同級生ら周囲の視線を交えて描いたスティーブン・チョボスキー監督作品です。

情報の90%近くを視覚から得る人類の歩みは誰かが誰かを色や形で判断して傷つけてきた歴史です。現代この問題に悩む多くの人達が啓蒙活動を行っているのに私達はいつでも余計なものを見て大切なものを見失います。その意味で本作の展開、特にジュリアンとミランダの心情変化が曖昧な点はそれこそが重要ではとやきもきとさせられます。

人間が否が応でも抱いてしまう複雑な心情を表現しきっているとまではいきませんが、それでも普遍的な友情物語として中盤までの展開は素晴らしいです。表情に言葉に文章、多くの手段があるが故に人と人はすれ違いますが、望んで挑めばそれは再び交わうことを示しています。それは傷つけ合う人類社会にも微かにあるワンダーな瞬間です。
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