菩薩

ワンダー 君は太陽の菩薩のレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.9
もはや山手線一駅分よりも近い距離に佇み、青山テルマを彷彿とさせる哀愁で「私はここにいるよ」と存在感を発揮する尿意が2時間全く顔を見せずにいたのは、朝から水分を取るのを控えたからと言うわけではなく、案の定ワンワン・ダラダラと泣き続けたからに他ならない気がする。そして本来であればその目からは水分のみが流れるのだろうが、今日の涙には心の毒素もしっかりと含まれていたため、なんだか体が軽くなった分、もしかしたら俺の顔面は今強烈な悪臭を放っているかもしれない、すまねぇ。泣ける映画が全て傑作になるとは限らないが、この映画は限りなく泣ける上に傑作と呼ぶに相応しい作品では無いかと思う。なんせ主役のオギーのみならず、オギーの友達、姉ちゃん、姉ちゃんの友達、ひいては犬…(泣)にまで焦点が当てられ、何層にも重なる感動のミルフィーユを形成しているもんで、こちらに泣き止む隙を与えないし、姉ちゃんと姉ちゃんの友達どっちも超絶かわゆい…もちろん犬も(泣)。そんなのを散漫だー!なんて言う人もいるだろうし、悪い奴は約2名を除けば出てこない展開を綺麗すぎるだろー!なんて言う人も居るだろうが、現実ってものを嫌と言うほど突きつけてくる映画があれば、夢や空想の様に優しく包み込んでくれるこんな映画があっても良いのでは無いかと思う。雨続きのどんよりデイズが続くなか、その引力に惹きつけられ、太陽の様に朗らかな作品に照らされた今日の俺の選だくは正解であった。これ以上なにかを書くと己の醜い部分を露呈してしまいそうなので、bonobosの「あなたは太陽」の歌詞の好きな部分を無断拝借して逃げようと思う。

日だまりを行くといい
愛することに出会うといい
あたりまえの営みを
どうかあなたは続けてね
行きたいところに行けるように
なりたい者にもなれるように
できればわたしも滅ばずに
あなたの未来のそばにいたい

こんな時代だからこそ、皆々様が、フォースよりも強い、優しさという力と共にあらん事を願う。
菩薩

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