このレビューはネタバレを含みます
素晴らしい映画だ。
トリーチャーコリンズ症候群として奇異な顔に生まれてきた少年と、彼を取り巻く人々の物語。複雑な筋書きや思いもよらぬ展開が待っている作品もいい。この映画には、そうした仕掛けはない。ストレートでベタ。光を光として描き、闇を闇としてあぶり出す。だが、そんな真っ直ぐな作品があったっていい。
少年の疾患をめぐる物語に留まらないのがいい。彼の姉も心にほぐしきらぬシコリを持っているし、誰しもが強くない。だけど、誰の心にも優しさがある。その温かさ、勇気、傷つきやすい心と大きな愛に、開始数分から全編泣き通し。
初めて学校へ行く少年の背中を見つめるシーンや、辛い思いをして塞ぎ込む子どもを前にするシーンは、わが子の姿がオーバーラップして心が締めつけられた。
エンドロールでようやく涙が引いてきたと思えば、最後の「#choosekind」の文字でまた涙腺崩壊。優しくい続けるのが難しい世の中だけど、折々観返して愛の力を思い出したい。