すべての子供達に見て欲しい。
ある研究によると、ひとは生まれつき「幸せを感じる閾値」というか「ベースの幸せ度」がそれぞれ決まっていて、不幸な人は宝クジで大金を手に入れても翌年には不幸だと感じてるし、幸せな人はたとえ片足を失っても翌年には”片足ですんで運が良かった”と感じている、と。
主人公と家族は、この例で言えば明らかに後者であり、本当に優しく強く魅力的な「普通の人たち」。
僕にとっては初のスティーブン・チョボスキー監督作品。群像劇型の構成はオギーの視点だけじゃなく周囲の人々の視点を自然に意識させてくれたし、過剰な演出がなくとても好感が持てた。印象的なシーンがいくつも。
辛い登校が栄光のパレードに。
チューバッカとのハイタッチ。
プルマン家の太陽系。
ビーチでのヴィアとおばあちゃん。
初めて友達を連れてきた時のママの顔。
プルマン家を外から見守るミランダ。
お互いを守りあうジャックとオギー。
観劇中に妻にメガネを横取りされる夫。
オギーが月を見上げてジャックに宣言。
登場人物達それぞれが悩み、苦しみを秘めて、みんな闘っている。
「正しさと親切さ。
どちらか選ぶとしたら親切を。」
最後の表彰シーンも取ってつけた感バリバリながらオギーに拍手したくなる。
「ルーム」で注目された子役トレンブレイくんはもちろん、俳優陣がみんな魅力的だったのでメモ。初めての名が多い。
オギー: ジェイコブ・トレンブレイ
イザベル: ジュリア・ロバーツ
ネート: オーウェン・ウィルソン
ヴィア: イザベラ・ヴィドヴィッチ
ジャック: ノア・ジュプ
ジャスティン: ナジ・ジーター
ミランダ: ダニエル・ローズ・ラッセル
サマー: ミリー・デイヴィス
トゥシュマン校長: マンディ・パティンキン
素晴らしい表情で魅せてくれたヴィア役の子だけでなく、ジャック、ミランダ、サマーを演じた3人も今後目にすることが多そう。あ、ノア・ジュプくんは既に売れっ子なんだね。
人間は異質なものを怖れる。異能者や他所者を攻撃するのも縄張りを守るための防衛本能。だからこそ、自分自身もそういう生き物なのだと理解し、意識的に知識を得て、他者を受け入れる知性と強さを持たなくては。そういうキッカケになる映画だと思う。
もう一度かいとく。すべての子供達に見て欲しい。