スギノイチ

影の軍団 服部半蔵のスギノイチのレビュー・感想・評価

影の軍団 服部半蔵(1980年製作の映画)
2.0
監督は集団時代劇の名手・工藤栄一だが、『大殺陣』なんかとは対極に位置する作品になっている。
開始早々、火を噴く黒塗りの化物が登場したかと思えば、いきなり脱皮して中から緒形拳が出てきた所で「ヤバいな」と思った。こんな爆笑シーンを記憶していなかったとは。
その後、伊賀忍者と甲賀忍者が地中からズボズボと出てきてアメフトのような甲冑でぶつかり合いだした辺りから真面目に観るのを辞めたせいか、徐々にダレてきた。

そもそも、半蔵が2人いるという設定は何か意味があるのだろうか。
渡瀬恒彦と西郷輝彦の立ち位置や手段があまり違わないのでさほど対比になっていないし、最終的に仲違いする訳でもないので、最期までお互い「仲間の1人」程度の存在に収束していた。
もうちょっと、光と影ならではの対立構造とか屈折した友情なんかがあれば燃えるのに。
終盤の大決戦も、全員黒ずくめ過ぎて誰が誰だかわからない内に西郷輝彦が死んで決着がついていた。

映画自体はちょっと完成度低目なアクション時代劇だったが、渡瀬恒彦の描き方は格好良かった。
基本的には粗暴な無頼だけど気さくな兄ちゃんっぽい面もある頼れるリーダー、というキャラクターは、渡瀬恒彦の特性にバッチリハマっている。
その一方で、敵の娘であり妹の仇でもある森下愛子をワイルドに犯してしまうダークヒーロー性も発揮。
(光と闇の工藤栄一演出だが、本作で唯一効いているのがこのシーン)
まあ十分に元は取れたけれど、『柳生一族の陰謀』然り『真田幸村の謀略』然り、90分に収めてくれてたらもっと黒字部分が増えるのになあ。
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