ジンロク

潜水艦クルスクの生存者たちのジンロクのレビュー・感想・評価

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今、世界で起こっている悲劇とまさに地続きの物語です。ある意味見捨てられる前線の悲劇を描いた物語でした。国家や軍事というのは、一人一人の命などなんとも思わない。その家族の気持ちに寄り添いなどしない。前線の兵士が置かれている状況に対する「当事者意識」などない。守るべきものは、体制であり、機密である。そのためにはどんな犠牲をも払う。でもその犠牲は最も弱い者たちが払わされる。このことは、舞台となっている末期のソ連、現在のロシアだけの話ではない。私たちの暮らしているこの国も、状況次第ではこうなるかもしれないという恐ろしさを感じる。
それにしても取り残された兵士たちの、生き残るための壮絶な努力は素晴らしい。彼らの努力は、決して国家や軍のためではない。ただ愛する者のためである。その崇高な行いを「勲章」という国家宣伝で汚してはならない。残された息子の振る舞いに希望を見出しました。
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