ししまる

潜水艦クルスクの生存者たちのししまるのレビュー・感想・評価

3.4
軍事演習のため艦員118名で出航したロシアの原子力潜水艦クルスクの魚雷が暴発。艦体はバレンツ海に沈むが、23名が生き残る。
ひどい話。実話だから暗澹たる気分になる。お粗末な装備、官僚主義的な姿勢。こんな体たらくで他国と戦争なんかしてる場合かと思うが、まあこんな国だからこそ戦争してるのかと逆に納得。
作品自体は過剰な演出を排して、乗組員たち(23人の様子はフィクション)、その家族、ロシア軍、支援を表明した英海軍の動きを淡々と描いている。全編英語。ラストはわずかながら溜飲が下がる。
✅メモ
2000年に起きたロシア海軍の原子力潜水艦クルスクの沈没事故を題材としたロバート・ムーアのノンフィクション「A Time to Die」を原作としている。
リュック・ベッソンら率いるヨーロッパコープなど製作でフランス、ベルギー、ルクセンブルク合作。事故当時、大統領だったプーチンの描写は脚本から削除された。ロシアで撮影が行われる予定だったが、ロシア国防省から許可は下りなかった。
クルスクのNATOコードネームはオスカーII型。史上最大の戦車戦である1943年のクルスクの戦いの舞台となった都市名から名付けられた。
史上最大の攻撃型潜水艦とされ、米国の空母打撃群全体を打ち負かすために建造された。水中排水量は1万9400トンと米英の2倍以上。対艦巡航ミサイルP-700グラニートを24発も搭載する一方、ハイテク技術が遅れてミサイル、船体とも異常に大きくなった。魚雷の製造精度、保管環境も悪く、推進燃料として使われる高濃度過酸化水素が不完全な溶接個所から漏れ出し、爆発した(ロシア政府報告書)。
劇中でも描かれる、ロシア上層部を糾弾する女性が注射を打たれて連れ出される様子は米CNNなどでも放送された。
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