櫻イミト

ジョニー・オハラの真実/暗闇に響く銃声の櫻イミトのレビュー・感想・評価

3.5
「荒野の七人」(1960)「大脱走」(1963)のジョン・スタージェス監督が「ミステリー・ストリート」に続いて手掛けた初期フィルムノワール。撮影も引き続きジョン・オルトン。

ある夜の街中で会社社長が銃殺され、青年ジョニー・オハラが容疑者として逮捕される。彼は無実を訴えるが両親は貧乏なため高額な弁護士料を用意出来ずに困っていた。それを見かねて旧知の弁護士カーテイン(スペンサー・トレイシー)が弁護を引き受ける。人情家で信頼の厚いカーテインだったが、このところはアルコール中毒のため刑事事件から遠ざかっていた。。。

冒頭と終盤の夜のシーンは名匠オルトンの撮影が力を発揮して闇と光の美しさに惹きつけられる。特にクライマックスは臨場感にあふれた演出も相まって息をのんで鑑賞した。

中盤は裁判シーンが続き、主役の弁護士カーティンが刑事裁判の勘所を取り戻せずに苦戦する。それを一気に取り戻すべく終盤の強硬手段に出るのだが、男気を感じる一方で、弁護士が身体を張ることに対して少々しっくりこない感もあった。父と娘の絆は人情味が感じられた。
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