BOB

ディヴァインのBOBのレビュー・感想・評価

ディヴァイン(2016年製作の映画)
3.8
パリ郊外の貧民街を舞台にしたシスターフッド・クライム・ドラマ。

"Money money money" "Money money money"💸💸

『レ・ミゼラブル』『アテナ』と合わせて、"怒れる現代パリ"3部作とでも呼びたくなるようなパワフルな社会派ドラマ。本作は、唯一若い女性視点から、パリの貧困問題、移民問題が語られる。

貧困環境で育ったからこそ抱く、金への渇望、成功への強い野心。貧しいながらも親友と"楽しく"過ごしていた学生生活から一変、ドラッグディーラーという"容易に"金を稼げる身近な犯罪に手を染め、成り上がり、絶望を見る。あまりに救いがなく、残酷で無慈悲な話だが、これが現実なのだと突き付けられる。

タラレバの話にはなるが、彼女が貧困の連鎖から脱出する可能性があったのは、ダンサーと一緒になる世界線だったのかもしれない。彼女を支配していた富への執着心を揺らがせたのは、彼への恋心だった。彼が、フランス発祥のコンテンポラリーダンサーという所も興味深い。

主演のウラヤ・アマムラの演技に圧倒された。ウーダ・ベニャミナ監督(モロッコ系フランス人)の実妹らしい。

スマホ撮影。車で駆け抜ける美しい夜のパリ。パトカーの赤/青ライトで照らされる犯罪現場。

ドラッグと神への信仰。反体制。

屈指の"体型で損をする映画"。悪い食習慣?荒れた家庭環境?結局は貧困問題に行き着く?

「いつも金のことを考えて、できることをやる。」

637
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