近藤真弥

近藤真弥の感想・レビュー

2017/04/21
3.5
邦題はクソ。でも内容は悪くありません。特に目を引いたのは“死”の描き方。たとえばナチスから逃げる際に撃たれた女性などは、撃たれるシーンがないんですよね。走ってるところを映しだし、別の場面に一瞬切りかわった後、撃たれて倒れた姿をアップで見せる。いわば生気がない目を介して、死を伝えてる。

一方で、教会での銃撃戦はこれでもかと血を見せて、お世辞にもキレイとは言えない。おそらくこれは、戦争を美化しないという意識が表れているからだと思う。ガプチークとクビシュの視点からエンスラポイド作戦を描いてるので、“邪悪なハイドリヒを討ち取った英雄の物語”になってもおかしくないのに、そうはなっていない。ガプチークとクビシュの最後も、スローモーションや過剰な音楽が使われることなく、驚くほど呆気ない。こうしたコントラストは意識的なものだと感じた。

生還率がほぼ0%の作戦にガプチークとクビシュが選ばれたのは独身だからなんだけど、その2人が大切に思える人と出逢い、楽しい一時を過ごす様子は結末がわかっているだけにとても哀しい。そんな哀しい人生を生みだしてしまう戦争の残酷こそ、本作が伝えたかったことではないでしょうか。