スパイス

RAW〜少女のめざめ〜のスパイスのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
5.0
フランス映画の魅力垂れ流し映画

エンドタイトルが出た瞬間、全身の隅から隅までトリハダが立った。
体の中心から末端にかけて順番にトリハダが立っていくのがわかるほど、
感覚が研ぎ澄むほど引き込まれていた。

それであのラスト。
今まで夢中になってたのに、強烈なインパクトで、一気に突き放された。

今作はグロテスクな表現が多い。
だがホラーではない。
この映画のグロはホラーではなく、"成長"、"絆"、"愛"の象徴なのである。

スプラッター映画やホラー映画とは一味違うグロさ。
スプラッター映画はよく見るけど、グロテスクなシーンはスッキリして気持ちいい。
しかし今作は違う。
今作のグロテスクな表現には、上にもあるように色々な意味が込められている。
(僕が最近見たところでいうアメリカン・ビューティであった、心の繊細さや生命の儚さのようなもの)
それだから胸が締め付けられて、目を背けたくなる。

僕はこの映画を観て、漠然とした"死への恐怖"が頭をよぎった。
知らないうちに本能をくすぐられていたのかも知れない。

その他に音楽もカメラの動き方も演出もすべて満点。
素晴らしくとんでもない映画を見てしまった。