えいがドゥロヴァウ

RAW〜少女のめざめ〜のえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.0
文明社会においては"野蛮"、ひいては謂わば"獣性"というのは卑しいものと見なされています
なぜなら人間には理性が備わっており
(それが人を人たらしめているとされるからこそ)
その理性に基づいて行動することが規範だとされているから

この映画の主人公は
あることがキッカケで自分自身も知り得なかった本能的な欲求(獣性)に抗えられなくなっていきます
その結果として彼女は前述した文明社会における"妥当"なビヘイビアから逸脱するのです

この少女はまた色んなものを飛び越えてしまっていますが
特殊な性癖を持った人の不幸ってのはあると思うんです
自身の欲求とモラルが相容れない状況に置かれた当人の苦悩
痴漢もストーカーも小児性愛者も
そういった欲求を持たない人はどうせ理解できないのだから一方的に断罪することは簡単だけれど
彼らは日々、己の欲求を"理性"で抑えることを余儀なくされている
その状況って可哀想なんじゃない?
またその一方で何もかもを許していたら成立しないのが社会やコミュニティーっていうものなわけで
そういった障壁にぶつかりながら折り合いをつけていくのが
また人というものの営みのようにも思えるのですが…
多様性を認めようという風潮は
どの程度の多様性を認められるのでしょうか