あら丸

東京喰種 トーキョーグールのあら丸のレビュー・感想・評価

2.3
「この世界はぁあ!間違ってるぅう!!」


本作は食物繊維の頂点である人を補食し生きる人の姿をした怪物「喰種」が存在する東京で、とある事情から喰種となってしまった大学生金木研の悲劇の物語。
原作は、現在は続編の「re」をヤングジャンプで連載中の石田スイが描く同名漫画。

本作はそんな原作者イチオシの窪田正孝くんが金木研を演じ、ファンも「まぁ、窪田くんなら」と互いに期待が多かれ少なかれ存在し、実写化の中でも恵まれた立ち位置たる作品……のはずだった。


蓋を開けてみたら、
まぁ、ひどい。


何が酷いかって、
先にいってしまうと、
最近よくある「とりあえず実写化しとけばいいっしょ」的なスタンスの駄作ではなく、
随所に感じられる監督や製作陣の拘りがことごとく外していたことにある。

その場合最早救いようがない。

ヤル気満々で頑張った結果がこれなのだから。


僕は原作のファンである。
そして、窪田くんも好きだ。
加えて実写化も反対派じゃない。
むしろ、楽しみに映画館にきた。

それがこれである。
怒りとかはない。
なんだか、
「おぅ~い。ふじぃむらくぅん。これはぁ、やったね…」
という気分である。


まず、
本作にほんのりホラーテイストをいれるのは喰種を描き方としてかなりぐっとくる。はずだった。
クインケが特撮っぽいのもやり口としてはありだった。はずだった。
話も真戸さんまでというのもまとまりやすい上に喰種のテーマを描ける。無理に詰め込まないその心意気。それも素敵な決断。のはずだった。
食事の演出も拘りぬかれていた。これも本作において大切な要素。すばらしい!はずだった。

はずだったんだよなぁ。


結果すべて裏目です。

まず、作品のテンポ。
これは非常にさくさく進む。
しかし、さくさく進みすぎている。
原作のここまで内容を見せるのであれば、大事なところをしっかり描ける。
でも、今回は全てのシーンをほぼ同じテンポで描く。テンポはいいといえばいいが、単調。永遠と同じリズムを刻む音楽に魅力は感じられない。転調がない。
棄てるとこは棄てろ。実写化成功の原則だろ。当たり前だろ。ダイジェストか。映画はシーンのコピペの繋ぎ合わせじゃねぇんだぞ。

クインケが特撮っぽいのに赫子はCG。しかもCGが画と合わない。ちなみに特撮も画と合わなかった。どっちかにするか、どっちも使うなら画の質感を考えろ。

ホラーテイストは何故かアメリカのB級ホラーみたいなやり方でこれも作風から浮く。何故だ。しかも使いどころが変。急にエクソシストか?

アクションでは画面に動きがない。今更この闘いを定点からとるな。カメラがちゃんと追え。CGをみせたいのか。下手なのに?馬鹿か。

窪田君よだれ垂らして叫んでるだけだろ。最早。喰種になってからの身体の動きは最高でした。でも、端から強そうなの。それと鏡とかで自分の顔見て我に返りすぎ。その演出さっきみた。とはいえ、これ窪田くんが悪いとは言えないと思う。
一番あってたのはトーカちゃん。でも、出家しちゃったじゃねぇか。あと、その服コスプレすぎるだろ。
次に真戸さん。真戸さんではないけどこの真戸さんはありだ。真戸さんは原作の中でもコミックキャラだからあれでもいけたのだろう。でも「お母さんだよ」はなんか笑った。
亜門は若造すぎるだろ。スタンスが。
佐々木希はまともな台詞ひとつかよ。でも雰囲気出てた。
ヒナミちゃんでけぇな!高校生くらいじゃねぇのか。

ってか、さっきまでごりごりに昼だったろ。距離感とかもどうなってんだ。


何が描きたかったんだよ。
絞れ、棄てろ。
魅せろ。アクションの撮り方を勉強してくれ。
無理なら画面をもっと暗くしてざらつかせてしまえ。
続編ありきみたいな作り方しすぎ。キャラの背景が見えない。原作読んでなきゃわかんねぇよ。赫子の説明もろくにねぇし。
盛り上げろ。漫画原作だぞ。
ダークファンタジーなのにただの陰鬱だわ。葛藤が弱いわ。
訓練シーンに至るまでが感情移入不可。
なんだその終わり方。

やり直して!やり直してください!!!!

本当に間違ってるわ。
この作品が構築した世界観が!!
あら丸

あら丸