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浮雲のleylaのレビュー・感想・評価

浮雲(1955年製作の映画)
4.2
林芙美子の原作を映画化した成瀬巳喜男監督の作品。

妻のいる女たらしでどうしようもない男と別れられず、すがりついて生きて行く女。女性の心の機微がみごとな作品。

戦時中のベトナムで出会った富岡とゆき子。富岡には妻がいたが、海外ということもあり2人は自由に愛し合う。
終戦後、帰国した富岡は妻と別れると言いつつも別れられないため、腐れ縁のような不倫関係をだらだらと続けていく。

戦時中は農林省で華々しく仕事をしていた2人が、戦後の混乱の中、仕事も暮らしぶりもどんどん堕ちていく。

一見、描かれているのはただの不倫物語だけれど、これは戦争に翻弄された1組の男女を描いた作品で、敗戦国である日本の戦後を見つめた作品でもあるのだと思った。
今日は偶然にも終戦の日。

ダメなのに憎めない根っからの色男っぷりが適役の森雅之。繊細な表情と男にすがるほど演技が輝く高峰秀子が素晴らしかった。

ただ、ラストが好きな展開ではなかった。
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