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浮雲のtaroumanのレビュー・感想・評価

浮雲(1955年製作の映画)
4.0
神保町シアター

延々続く暗く重たいロービートを思わせる陰鬱な映画で、鑑賞中はいつまで続くぬかるみぞ、などと思ったりもしたが読後感は意外と小ざっぱりした印象。

お得意のリズミカルなカットはもちろんだが、どうやっても垢臭く見えないデコちゃんと森雅之の衣装、間に挟まる異国風情やスタイリッシュなセリフなどなど、ドロドロした話しの割には乾燥したイメージをもたらしている。

男女の機微などというのはカップル毎にみな異なるもので第三者たる他人は伺い知ることもできないわけだが、デコちゃんと森雅之の関係も百人百様の想いが反射するところに本作の中毒性があるのかもしれない。
因みに脚本の水木洋子はインタビューなどで、決まってるじゃない体の相性がよかったからよ、などと身もふたもないことを語っていたそうだが、まあ案外そんなものかもしれない。

だらだらと道を歩くシーンがちょっとフランス映画っぽく見えたりしてやはり成瀬映画は癖になる。
そういえば、あの当時は初対面でも混浴がデフォなのか。
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