Sinamon

戦場のメロディのSinamonのレビュー・感想・評価

戦場のメロディ(2016年製作の映画)
4.3
朝鮮戦争で全てを失った子どもたちによる「児童合唱団」の歌声が人々の心を癒していく姿を、実話をもとに描いたヒューマンドラマです。
朝鮮戦争真っただ中の1952年、家族も戦友も失い失意のどん底にいたハン・サンヨル少尉(イム・シワン)は、最前線から釜山に転属となります。そこで彼は、両親を亡くした戦災孤児たちの世話という任務に就きます。音楽が得意なサンヨルは、子どもたちを集めて合唱団を作り、歌を教えることを思い付きます。最初はぎこちなかった子どもたちも、次第に笑顔になっていきます。そんな合唱団が、死と隣り合わせの最前線で戦地で慰問公演を行うこととなってしまうというストーリーです。

戦争、子供、孤児と言うワードを見て覚悟をもって見始めました。

映画の始まりは激しい戦闘シーンからで、いきなりの事で息をのんでしまいました。

日本の戦後、五年を待たずして始まった朝鮮戦争が舞台で同じ国の同族が殺し合い、主義の違いで、同じ村の者が隣人を撲殺する地獄のシーンではもう唖然としてしまいました。
その地獄で一生懸命に生きる戦争孤児達は、親や兄妹を想う気持ちだけで突き動かされる姿はとても辛く胸が苦しくなりました。

サンヨルは戦争で妹を亡くしていて、家族を亡くした孤児達と、心が通じ合い、助け合い、励まし合って生きていく姿に感動しました。

とにかく子供達が可愛くて、歌声が美しく聞きいってしまいました。歌う事で子供達は生きる希望をみいだし歌って本当に素晴らしいと思えました👏

ドンウとスニと言う兄妹がこの映画の軸になっているのですが、とにかくこの兄弟愛に泣けて、泣けてしかたなかったです😭

自分が歌ったことで父親が殺されたと思っている妹のスニは頑なに歌うことを拒みます。
自分が歌うと今度は兄のドンウが殺されると思っているからです。
ドングはそんな妹のウニを常に守っていて健気な兄妹愛に涙しました💧

ドングがはなった言葉で「戦争や死ぬことより怖いことは捨てられること、独りになること」という言葉が胸に刺さりました。

ラスト20分は、大号泣してしまい涙で画面が見えなくなりました😭

イム・シワンさんの演技も素晴らしかったです。苦しくても辛くても真っ直ぐ生きていて子供達に対しても溢れるばかりの愛をもって接している姿がとても素敵でした。

子役の兄妹の演技がとにかく素晴らしく、他の子供達の演技も自然で本当に韓国の子役の質の良さに感動を覚えました。

エンドロールに流れる「本作のモチーフとなった児童合唱団は韓国全土で公演を行い休戦後は米国議員の前で初めて公演を行った。朝鮮戦争は200万人以上の死傷者を出し朝鮮半島を世界で唯一の分断国家にした。戦争がなくなることを願って」と書かれてありこの映画の本当の願いは知る事ができました。
Sinamon

Sinamon