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シュガー・ラッシュ:オンラインのbeatdjamのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

前作から6年経過後の続編。
前作では4台稼働していたシュガーラッシュが1台稼働になっており、補修部品が無くなっているところに時間の経過を感じる。

新しいワクワクを求めるヴァネロペのためにゲームを改変し、結果的にシュガーラッシュを撤去の危機に追いやってしまったラルフ。
シュガーラッシュ修理のために、インターネットの世界に二人で飛び出した結果、変わらない毎日を愛するラルフと、刺激がほしいヴァネロペ、相反するものを求める二人は衝突してしまい…というシナリオ。
 
劇中で描かれるインターネットの描写は圧巻で、現代のインターネットを利用しているユーザーならどこかしらでニヤリとできるのではないだろうか。(それにしてはリトワクさんが90年代のMacを使っていたのが気になったが)

前作とは異なり、ゲーム世界での冒険というよりは現代のインターネットを皮肉る内容と、ディズニー関連作品のカメオ出演を全面に押し出した雰囲気だった。
ディズニープリンセスの登場シーンでは、原典作品のパロディもあり、かなりのファンサービスだったように思う。

一見ただヴァネロペを失いたくないだけのように見える「変わって欲しくない」というラルフの叫びも、長い孤独から救われた前作を下敷きにしていると思うと重みが増す。それでいて、延々と同じ毎日を過ごすヴァネロペの「変わりたい」という気持ちも痛いほどわかる。その気持ちがぶつかり合い、トラブルを経て、変化を認める形になる、一種ありきたりなシナリオではあるものの、自らの弱さを見つめ、ヴァネロペを送り出すラルフの成長が描かれたのは良かったように思う。

気になった点があるとすれば、ヴァネロペが簡単に別のゲームへ移ってしまった点。そしてそれが簡単に受け入れられてしまった点だ。
前作で、ターボが別のゲームに移り、その世界を自分の望むように書き換えていたことをあれほど強く糾弾し、共存の道を見出さなかったにも関わらず、本作では(決意の形ではあるものの)他ゲームのコードに組み込まれることによって、その世界の住人となってしまった。
結果シュガーラッシュはヴァネロペを失い、スローターレースは不安定なヴァネロペ取り込むことになってしまった。
これは作品的に許されてよいのだろうか…ともやもやした。

欠点も書いたが、総評としておすすめできることには変わらないので、ディズニーファン、前作ファンは見て損はないと思う。
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