らんらん

暴力のらんらんのレビュー・感想・評価

暴力(1952年製作の映画)
4.0
夜ともなればパン助の溢れる大阪のスラム的な街が舞台、治安も悪く最底辺の人々が集まった街の中でポン引きをして暮らす主人公タカコ(日高澄子)
家が怪しい旅館を営んでおり養父(菅井一郎)が家族を支配しているのである、母(浪花千栄子)や妹(若山セツ子)も一緒に暮らしているがつらい日々を過ごしている、常々こんな暮らしから抜け出したいと願っておりそのチャンスが訪れたかに思えたのだが、、、

吉村公三郎監督作品ですが、意外にも製作は東映、メインの出演者も東映っぽくない
ただクレジットで月形哲之介とかの名前見るとやっぱり東映だなと思う(最初の方のチンピラ役かなぁ?)
あとはかなり後ろのほうに「千原しのぶ」の名前も紛れている、あの東映時代劇で姫役を多くこなしていた千原しのぶ?それなりに注意して見ていたけど発見できず、ほんとにいたのかなぁ、データベースにないけどこれカウント外のやつかも、そんなこんなで冒頭から楽しみがありました

この映画を見ようと思ったのは吉村公三郎が監督ってのもあるけど、出演者では若山セツ子が見たかった!
今作では盲目の少女役、ヒロインの妹役です
いつもながらの清純さ可憐さに盲目キャラがプラスされて効果倍増で良かったです

ストーリーは結構重いお話かも、救いがないみたいな感じ
抜け出せるかも抜け出そうって母娘3人が決意したところに降りかかる悲劇
やっぱり無理なんだっていう失望絶望から来るラスト、そりゃ壊れちゃうかもね

菅井一郎演じる養父がとにかくクズ!
もともと戦前は一家で洋服屋?をしていたらしいけど店は戦争で焼失、実父(殿山泰司)も戦争に8年も行っていたとかで帰ってきたら奥さんと子供取られてたみたいな悲惨さ
それで姉にはポン引きさせるだけでなく、上客(進藤英太郎)から金をせびるために体をも強要させようと企てる、それが失敗したから今度は盲目の妹をターゲットにっていう吐き気をもよおす邪悪
ラストでは乱入してきた殿山泰司をボッコボコに殴りまくり、そんないろんなことが重なっての姉の凶行ってオチです

主演の日高澄子さんって名前だけは見たことあると思う、調べると東映時代劇に名前が多い
けど印象ないのは大部屋レベルの脇役だから、そんな彼女もこの時は主演もやっていたんですね(同姓同名とかいうオチはないよね?)
この作品で初めて認識して見たんですがなかなか美人さんです(元宝塚らしい!)、気の強いところもあるけど優しいそんな役を好演していました、雰囲気は京マチ子に似てると思う
あ、このジャケ絵よりも美人です、写り悪いの使ってると思うw

救いのないお話だけど、それでもこの街にとってはよくあることみたいな皮肉、冷めた目、そんな環境に慣れてしまった人々、ダークファンタジーかと思っちゃうような非現実さでした
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