TaiRa

攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3DのTaiRaのレビュー・感想・評価

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観たのは2006年のオリジナル版。神山版でこれだけ観てなかったし、SACの新作一応観たいので。

現実の社会問題を取り込む脚本は今回もしっかりしてて、何ならシリーズで一番露骨にやってる。少子高齢化社会と児童虐待、孤独死とか諸々。今観ても古臭くならないくらいには問題が継続してるし悪化してるのが何とも。原作・押井版の人形使いに相当する傀儡廻を描いた話。神山なりの押井版2作へのアンサーにもなってると思う。押井のポスト・ヒューマニズムに対する神山の答えは、あくまで現実的な価値観だと思ったし、答えをはっきり出さない事の真っ当さも感じる。あくまで規律/秩序の中で何が出来るかという人間的で曖昧な結末。素子なき9課の光景も新しく提示されてたし、バトーの哀愁も十分にある。素子を人間にとどめて描き続ける今シリーズの意味も改めて問い直される。傀儡廻の正体も人形使いと対になっているのも大きい。善悪がはっきりしないのもらしさ。シンプルに良かった場面はサイトー対ラジ・プートの狙撃線。手際が良い。あとトグサの自殺阻止。素子のバトーに対する芝居の付け方も相変わらず良かった。ラストは押井版を踏まえると泣ける。手を触れられるだけで十分。
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