TV取材クルー4人とプロデューサーの娘含め5人が故・間宮画伯の洋館へ訪れる。その洋館には壁画が残されており、壁画を全容解明しようとするがある人物が敷地内の供養塔を足蹴にして壊してから、戦慄の恐怖が訪問者達に襲い掛かる和製オカルト館ホラー。
ソフト化した際の権利関係のトラブルが原因で今後もソフト化は絶望的なある種カルトムービー。
日本が誇る鬼才・黒沢清監督の待望のメジャーデビュー作。
本作はそもそも黒沢清監督が別の制作会社で映画化が決まってたのがぽしゃって、前作で監督と俳優の立場であり、しかもとある教授の門下生同士と云うのもあって、伊丹十三のところへ脚本を持ち込んでやっと映画化が決定したらしく、撮影前は蜜月関係だったみたいだけど、まぁ、その辺は置いといて作品自体とにかく久しぶりに観たら、目玉のSFXは覚えていたけど、詳細は殆ど忘れていて、初見みたいに凄く愉しめました。
『ヘルハウス』のようなアメリカの館系ホラーの世界観をそのまんま日本を舞台にして描きたかった映画で、オープニングから日本ではお目にかかれない独特のゴシック建築物をミニチュアで再現し、激烈な砂嵐と粉塵から目を守るゴーグルみたいな小道具も、スニーカーに入った大量の砂を出したり、世界観が日本で起こってる風には全く見えません。
それは、終始同様で徹底して土俗的日本スタイルを排除してるのが何とも面白いのです。
アメリカのホラーではお馴染みの重要拠点であるGSも本作では重要人物登場の場所として設定したり、洋館の内側も同じで廃墟っぷりが凄まじく、闇や影に邪悪な意思を持つの言葉通り、怪異現象が襲ってくる際の光と影の使い方や地下室、そして崩れ落ちる床、天井照明の落下等、建物内の上下の縦の使い方も定石通りの演出。
これは、カメラワーク、特に寄り引きのショットについては伊丹の指示が細かく入ったようで、黒沢の辟易した感じが伝わってきそうw
今回初めて気づいたんですが、車椅子のギミック、後の『CURE』でもっと画的に禍々しい使われ方されますね。既に本作で試運転されてたんですね。
ちなみに目玉のSFXに関しては、脳みそバーン!の『スキャナーズ』、緑色のグロい液体ドバッ!の悪魔憑き『エクソシスト』などの特殊造形でその手腕を発揮したディック・スミスをわざわざ招聘したから、そりゃ実にこれまたらしくて愉しい♪
一体誰が溶岩みたいな人体マグマ現象や斬月剣の刑に処されるかはネタバレしませんのでお楽しみ♪
ちなみに故・間宮夫人の変身後のお姿は黒沢監督が事前に「お岩さん」の映像をディック・スミスに送って造形を依頼したみたいですね。
だからあの容貌だったんだって今なら理解できます。
いやぁ、ラストの攻防の画なんて最近のJホラーではなかなかお目にかかることは無いので、それだけでも観る価値ありじゃ?
ちなみにキャスティング、特にNOKKOと古舘伊知郎は誰が企図したんだろうw
とにかく、こんな仰々しい館ホラーは今後予算的にも作れないでしょう。
バブル時代よ永遠に。