キッチー

エタニティ 永遠の花たちへのキッチーのレビュー・感想・評価

3.6
とても美しい暖かみのある映像とピアノやアコースティックギターの音色の美しい楽曲で構成された作品。ちょっと実験的。でも、ストーリーらしいものが感じられない、淡々と進んでいく大家族の歴史。

生と死が描かれている割には喜びや悲しみが大きくクローズアップされていない。全ては流れの中に描かれているような気がした。

裕福な家庭に育ち幸せな結婚をし、子供も大勢産んだヴァランティーヌ(オドレイ・ドトウ)、その息子アンリの幼馴染で妻となったマチルド(メラニー・ロラン)、マチルドの従姉妹ガブリエル(ペレニス・ペジョ)。三人を軸にして周りにいる人々の生と死を中心に描いているけど、時として現在と過去が錯綜する。大切な人と過ごした日々がフラッシュバックするところは良かった。

言葉や劇的なストーリーで引っ張っていくのではなく、ひたすら人生の局面(特に生と死について)を集めているような印象でナレーションがなかったら良く解らないところも多い。中心の三人の女優の存在感がなければ成立しないんじゃないかな。オドレイは17歳から老人まで演じていたけど、キレイでした。

登場人物は沢山出てくるのに三人と旦那役のアンリ、シャルル以外は、一瞬で消えていく印象。こういう映画も珍しいですね(笑)

とにかく美しい映画を作りたいという気持ちが伝わってくる作品。映画館で観たらもっと素敵だったかも。
「ノルウェーの森」のトラン・アン・ユン監督。
キッチー

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