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過激派オペラのこのレビュー・感想・評価

過激派オペラ(2016年製作の映画)
3.5
うおーーーやってやるぞーーーー!みたいな熱気ムンムンだった。先日観た『夜、逃げる』が演劇のイヤな部分、というかいい年こいて何やってんだ私、というネガティブな部分が目立ったのに対し、本作はとにかくみんなと一緒に何かを作ること、っていうことに対して全員が全力でぶつかってる。いい年こいてようが全力で取り組んだらその時点で青春なんだなぁと思った。旗揚げ公演の達成感(まあ、学祭で劇やったりとか、だいぶ学生ノリに近い)を経て、次の公演で部外者がやってきて劇団内の関係がどんどん壊れていく感じも青春の1つの終わりって感じでよかった。

監督の江本さんはこれが初監督作品で、それまでずっと演劇やってた人だけど、映像で見せるところもちゃんとあってよかったと思います。監督が「演劇はずっとやってるから力の抜きどころが分かるけど、映画は初めてだから何もかも楽しかった」とミニトークで言っていて、自転車のシーンとか、多分撮影そのもの、カメラを回していることが面白かったんだろうな、と思った。趣里さんとか、安藤玉恵の使い方がずるい。

ただ、映画内で劇の稽古をしているシーン、実際に劇をしているシーン、それ以外のシーンと、どこも演技のトーンが一緒でハイテンションで情熱的だったので、緩急がなかったかな、とは思う。物語としては旗揚げ公演の成功がメンバーたちも映画としてもテンションがピークで、そこからはだんだん崩れ落ちていく…という緩急はあるけど。演技のテンションも波があった方が良かったかも。だんだん濡れ場も含めて笑えてくるんだけど、ハッとするような驚きはなく、飽きてくる可能性もある。
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