ふじこ

ニコラス・ウィントンと669人の子どもたちのふじこのレビュー・感想・評価

3.5
ドキュメンタリータッチで、かつてニコラス・ウィントンが救った子供たちの証言をメインに当時を振り返る。

思い掛けず知った、迫るナチスから逃れた難民の窮状を憂いて様々な処へ訴え、資金を集め、名簿を作り、子供たちだけでもと開戦までに669人もの命を掬い上げた素晴らしい人が、老齢に至るまで誰にも語らなかったそれを、かつて助けた子供のうちの一人をきっかけに世界に広がる。

旅立つ前に家族で過ごした思い出、旅の最中、現地について両親から送られてきた手紙、そのどれもが家族との思い出の最後となるなんて…。
そして、どうにか子供たちだけでも、いいや自分もどうなるか分からない、子供も送り出した先でどうなるか分からない、それなら一緒に…と言う親御さん達の葛藤を想像してとても胸が痛んだ。

ニコラス・ウィントン氏のお陰で命が助かった人もいれば、その体験をそれぞれが共有する事で生まれる優しさもあると思う。
情けは人の為ならず。皆に慕われて涙するニコラス氏に知らず笑顔になってしまった。
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