近藤真弥

シークレット・オブ・モンスターの近藤真弥のレビュー・感想・評価

3.0
映像面は好きです。ヒッチコックを想起させるカメラ・ワークは面白いし、フィルム・ノワールの要素が漂う暗さもツボ。フリッツ・ラング的な色合いがあるんですよね。具体的には『死刑執行人もまた死す』あたり。

ファシズムをテーマにしたストーリーも悪くない。権威主義や構造的な男尊女卑がファシズムを生みだすのでは?という視点から、物語を紡いでいる。ムッソリーニやサルトルをヒントにしたそうだけど、男の暴力性が際立つ内容は今っぽい。父性の怖さも浮きぼりになっている。

残念なのは、スコット・ウォーカーによる音楽。清々しいほどに作品の面白さをぶち壊している。映像のムードをふまえれば静謐な音楽が似合うと思うのだけど、やたら大げさで映像とまったく合ってない。
近藤真弥

近藤真弥