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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのmotoyAliveのレビュー・感想・評価

4.5
『目には目を歯には歯を』
カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した家族の運命を握る心臓外科医の苦悩を描くサスペンススリラー。

《あらすじ》
心臓外科医のスティーブン(コリン・ファレル)は妻のアナ(ニコール・キッドマン)と娘のキム(ラフィー・キャシディ)、息子のボブ(サニー・スリッチ)の4人で暮らしている。スティーブンは家族には内緒で、定期的に会っているマーティン(バリー・コーガン)という少年がいる。マーティンはスティーブンの亡くなった元患者の息子で、罪悪感からか援助を続けている。ある日、マーティンを家に招くもそれ以降家族に災いが降り始める…。

《感想》
前作『ロブスター』に続き、ヨルゴス・ランティモス監督による不条理と超自然的な世界観を描いた怪作。

終始、無機質で不気味な雰囲気が漂っているなか、ズームインやズームアウト、俯瞰した映像など独特なカメラワークと不安を煽る耳障りな音楽がより一層不気味さを増し、不快感を味あわせてくる。

そして、この不気味さにさらに拍車をかけるのがマーティン役のバリー・コーガンの演技。佇まい、首の動き、目の動き、全ての動きが挙動不審で気持ち悪さ全開の演技が素晴らしかった。マーティンがスティーブンの家に徐々に入り込み、完璧だった家庭がボロボロと壊れていく様はバリー・コーガンの演技力あってのものだった。特にマーティンがスパゲッティを食べるシーンはこの世で1番嫌悪感を抱くスパゲッティの食べ方だった。笑

オープニングから心臓をオペする生々しい描写で始まり、そこからも気分の上がるシーンは皆無で、自らの責任を他人しか責任を取ることができないという胸糞な展開なので、ハッピーエンドを望む人にはおすすめはできないが、一癖も二癖もあるストーリーと演出が目を離せなくさせる作品。
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