あんじょーら

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのあんじょーらのレビュー・感想・評価

2.8
結構好きな監督ですが見逃していたので。いろいろ忙しいので、少し異常な作品を観て心の平穏を得たかったのかも知れませんが、今観るべき感じがしたので。ええ、私はソシオパス気味を隠して生きているという自覚があります。日本社会から特に排除されたいとは思っていないですし、生活の基盤がここですし、人の頭の中は覗けませんしね。



アメリカの2020年代、心臓外科医として働くスティーブン(コリン・ファレル)は妻(ニコール・キッドマン)と中学くらいの娘キム(ラフィー・キャシディ)、小学校低学年の息子ボブの4人の裕福な家族です。しかし、そこにマーティンという高校直前の男の子が近寄ってきて・・・というのが冒頭です。


聖なる鹿殺し、と言っているので、そして作中にキムの文才を表す為にイピゲネイアと言っているので間違いないと思いますが、ギリシア神話のモチーフです、監督がギリシャ出身もあると思いますが、神話の話しは基本的に悲喜劇であり、結末には諦観が含まれていると思いますし、まぁ因果応報な話しが多いです。が、中でもギリシア神話は多神教の神話なので、非常に人間臭い神様の話しです。イピゲネイアの話しはどちらかというと後日譚に当たる部分で、まぁ映画の後の世界を暗示させる、という事だと思います。


ちょっと分かりにくいけれど wiki情報  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%94%E3%82%B2%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%82%A2


神話は知っている人は知っている、調べたい人は調べるとは思いますけれど、別に知らなくても十分楽しめる作品ではあると思います。


特にカメラワークはかなり独特ですし、凄く寓話的な話し。でも、ホントこの監督は頭がオカシイと思います(←凄く褒めています)。


そしてこの監督にコリン・ファレルは気に入られてしまったのだと思います、しょうがないとも思いますけれど。それとニコール・キッドマンの非常に醒めた演技が秀逸です。こういう人本当にいそうですし、私は夫も非常に問題があるけど、この奥さんにもかなりの問題があると思います。


でも、私はこの作品よりも、そして前作ロブスターよりも、最初の「籠の中の乙女」があまりに酷すぎて(←何度も言いますが、褒めています)大好きです。もちろん、その後の俳優さんたちの事を考えると凄く痛ましいのですが・・・それがこの映画の出演と何か関連があるのか?私にはワカラナイのですけれど。



ただねぇ・・・なんで劇場で観なかったか、というと、下半身が動かないって演技としてはなんか間抜けに見えるからです。凄く簡単に誰でも出来るでしょ?足を動かさないって・・・チープに感じたんです、実際見ても絵は凄く綺麗ですし、カメラワークも新鮮さがあったし、特に廊下のカメラの動きとか画角とかシンメトリーですし、表情読み取れない角度で、しかも何故か視点が妙に高いんですよ、そうすると結構な不安感もあるし。でも驚かせようBGMがちょっとうるさくも感じました。


凄く良かったのは、心臓外科医のファニーゲームが始まったところ!馬鹿みたいで最高です。

逆に萎えたのは、ラストシーン。けいさつはどうしたの!ってどうしてもなる。