ゆきえい

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのゆきえいのレビュー・感想・評価

3.6
女神アルテミスの鹿を殺してしまったアガメムノン、女神の怒りを沈めるには本人でなく娘を生贄に差し出さねばならない。
ギリシャの悲劇「イピゲネイア」に由来する。

家族の命を守るための究極の選択を迫られる心臓外科医。
沸々と迫る不穏な変化と、歪む家族のそれぞれの思惑。そこに重く入り込んでいくバリーコーガンの狂気。
効果的に幾度もカメラがズームアウトされ、映し出される静かな直線的な空間がそれぞれの不安と葛藤に対比され、終始居心地の悪さが背中を這っていく感じです。

総じて、これほど静かに後味悪すぎる顛末を構成が見事。いやーな映画ですけど。