しーかず

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのしーかずのレビュー・感想・評価

3.8
ヨルゴス・ランティモス監督作。自分の過失で患者を殺してしまったことを隠していた外科医が、スピリチュアルも含んだ恐怖の中で代償を払うことになる。どう転んでいくか分からない中で不穏な続くので、物語途中まではかなりのワクワクがあったし、急転直下でスピリチュアルな方向に転換していくのはかなり面白いと思った。後半に関しては少しテンポが遅くアート的でよく分からない演出が多かったので好みはありそうだけど、全体的にランティモス監督の放つ独特な世界観が光っていたと思う。少し世界観重視で物語の実体が掴みにくい印象は受けた。余計な演出が無い中で不協和音的なBGMが時折鳴るのも良かったし、どこか成功してる家族の内面の味気なさみたいなのも感じる部分があって、人間の怖さもじわじわと感じる作品だった。とにかくマーティン役のバリー・コーガンの不気味な演技が素晴らしい。「ソルトバーン」や「イニシェリン島の精霊」など、彼の演じる癖役が大好き。
しーかず

しーかず