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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのmochikunのレビュー・感想・評価

4.3
いや〜あらすじを全く読まずに、タイトルに惹かれて借りたんですけども、スゲー映画でしたよね。

僕はこの監督の作品は「ロブスター」しか見たことなくて、フィルマークスに感想書こうと思ったんですが、よく分かんなくて何も書けなかった記憶があります。

それにしても、主人公にしてみれば不条理極まりない状況ですよね。医学では解明出来ない何かが娘と息子に働いていて、しかも事態は不可逆的にどんどん悪くなる中で、非常に厳しい選択を迫れると。
僕は思うんですけど、最後の選択を自分の意思ではなく運に任せたところが、このストーリーの肝のような気がしています。
ある時(手術の過失)を境に、主人公も気づかないうちに自由意思が通用しない世界にスライドしてしまったというか。

そういう意味で、カメラワークも人物とか出来事を撮るっていうよりも、その世界を切り取っているように感じました。頭よりも上から広い視野で撮っていたり、引きの画が多かったですしお寿司。
だもんで、逆に顔のアップとか差し込まれると、めちゃくちゃ見入ってしまいました。例えば、スパゲティ食べてるマーティンと話しているときのニコールキッドマンが画面いっぱいおっぱいに映っているところが、とても印象に残ってます。

とにかく、これでもかってくらいマーティンが薄気味悪ったですよね。
落ち着きなくもぞもぞと体を動かしながら、子供みたいな声色で気味の悪いことを言うさまは、まるで無邪気な悪魔、あるいは不吉な預言者のようでした。

このようなキャラクターの系譜ってありますよね。
善悪を超えた何かで物事を判断する感じというか、まったくこっちの理屈が通じないというか。
パッと思いついたのは「ノーカントリー」のハビエルバルデム演じたキャラクターくらいですけど。

ところで、あのシーンが「あ、手コキだけでいいんだ」と思ったのは僕だけじゃないはずです。
あと、ニコールキッドマンのオッパイも見れましたので大満足です。
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