やま

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのやまのレビュー・感想・評価

4.5
数回目 2023 0512
5年ぶりとかに観ているが、
これぞ映画という感じの気分にさせられた。
足が動かなくなる現象と1人犠牲を出せという分かりやすい課題。
これらがストーリーを作り、
キャラクターが世界観を作っている。
音楽、カメラは最強の補助。
彼らのセリフ1つ1つが気持ち悪くて最高だ。


・整えられた構図と配置の中、滑らかに動き続ける被写体とワーク、それがズレた時の不安感

・ニコールキッドマン喫煙シーン
目元の黒さ

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「籠の中の乙女」もそうだし「ロブスター」もそうだけど、この監督の描く世界は不気味で気持ち悪さに満ちている。
ただその独特の世界観に惹きつけられる。
何か一つの理不尽?気持ち悪い?世界に閉じ込められている少年少女たちを毎度描いているイメージ。

まず気持ち悪い点の1つ。
人間の身体に関する話がやたらと多い。
毛の量の見せ合いっこするシーンもそうだが、初潮だったりとか、主人公の過去の話であったりとか、とにかく躊躇なく普通なら恥ずかしくなるような話であったり行動をする。この映画は何らかのメタファーで埋め尽くされているというので何か意味があるのだろうな。ニコールキッドマンと娘のベットでの体勢も。

映像の造りも気持ち悪さを助長させている。まずこの映画のカメラワークを観ると、やたらと多い廊下のシーンでのカメラワークから「シャイニング」が浮かぶ。
「シャイニング」も屋敷の不気味な雰囲気にただただ飲まれていく主人公を描いていて、まさに今作は観客たちを飲み込みにいってるそんな感じ。
構図の不自然な感じも結構好みだった。カメラワークからも世界観を構築させてくるいい例の映画。エスカレーターでのシーンがかなり好き。

マーティンのナポリタンのシーンの気持ち悪さも強烈なんだけど(フォークを突き立てるシーンが印象的)、あのルーレットがやばい。人間が選択を迫られ選択出来ず神に任せるあの滑稽でもあり、気持ち悪さ全開の感じがヤバイ。コリンファレルの回り方。


とにかく魅力を書き出すと止まらない。
こういう映画が観たかったと思わされます。マーティン怖すぎ。家族も怖すぎ。
やま

やま