バナバナ

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶のバナバナのレビュー・感想・評価

3.5
原作は、本業がテレビのバラエティー番組の演出家の方の初小説だそうです。

満州といえば、石原莞爾の受け売りで辻正信が、
『五族協和の実現』という建前の下に、日系、満系、台湾系、朝鮮系、蒙系、白露系の子弟が入学した“建国大学”を造った地ですが、
この映画では、料理人・山形直太朗の弟子に、中国人と日本人の青年が付き、ロシア人家族とも友達付き合いがあったりして、当時の満州に住む一般人は、それ程差別意識なく、こんな風に生活してたんじゃないかな、と思わせる空気感が面白かったです。

4/5くらいまでは構成もよく、70年の時が密接に絡みあう、ミステリー仕立ての壮大な物語だったので面白かったのですが、
残りの1/5がまとまり過ぎてしまって、結果、話が小さくなってしまったなと、ちょっと残念でした。

それと、本筋からは微細な事ですが、スラバホテルの支配人はロシア系ユダヤ人という事らしいですが、今も支配人を続けていられるって、どこにあるホテルなんだろう?
ウラジオストック? 中国のハルピン? どちらもユダヤ人排斥や、赤軍・ずっぽり共産党時代などがあったから、息子が支配人を続けられないだろうし、どうなっているのかが分かりませんでした。
あと、30年位前なのに、中国と日本ってこんなに簡単に行き来できたっけ?など、設定甘くない?みたいな部分もありました。

途中からオチは、ハハーンとすぐに分かったのですが、
それにしても、私の予想を上回る「これじゃあ、準備し過ぎだろう!」という展開だったので、もうちょっと偶然性を残しておいてくれたら、90点いったのにな…と思いました。
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