喪黒もぐちゃん

サバイバルファミリーの喪黒もぐちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

サバイバルファミリー(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

コメディかと思いきや、全く笑えなかった。
勿論、良い意味で。
こんなに素晴らしい映画とは全く予想していなかった。

「もしもこの世から突然電気の存在が消えたら——」
という一見あり得ない設定に思えるが、日本人にとってはそこまで遠い話ではないだろう。

地震や台風によって社会インフラが全て機能停止した状況を体験したことがある人にとっては現実世界の話である。

よくアメリカ映画で地球滅亡的な作品はあるが、あれとは全くの別物。
エイリアンが襲ってきたり、銃撃戦になったりする訳ではない。
あくまで本作は電気の存在が無くなっただけで、それ以外は何も変わっていない。

そう、ただ電気が無くなっただけ。
たかが電気、されど電気。
電気が無くなるだけで人間はこんなにも困り果てるのだ。

電気が無いことで起こり得る世界の変化とは、生活様式ではなく、『人間の醜さ』である。
実際、このコロナ渦でマスクが品薄になった時も、普段は温厚なはずの隣人たちが薬局店員に怒号を浴びせるニュースを見たことを思い出した。

結局は皆、自分が可愛いのだ。
自分や自分の家族さえ助かれば、他人の水や食料を盗んでもいい。
それが人間の本性である。

同時に、そんな醜い本性と向き合い、苦難を乗り越えて頑張る強い部分も人間らしいところだ。

学校の授業などで子供たちに観せてもいいだろう。
人間とは如何に無力か。
是非とも全ての現代人に観て欲しい映画である。

と、
こうして電気の通ったスマホを握って、Filmarksのアプリを立ち上げ、Wi-Fiに載せてレビューをアップロードしているこんな私も、また無力な人間の一人かもしれない。

このレビューを読んでる貴方はどうだろうか?