かわちゃん

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のかわちゃんのレビュー・感想・評価

3.9
爆音パンクとくぐもった音、生活音と無音、
今まで聞いていた世界と
難聴となったルーベンの聞く世界が交差するシーンが何度も登場して、
ルーベンが感じたであろう喪失感をくらいました。

難聴になったルーベンは、ろう者の支援グループ施設に入居して間もなく
ろうのこども達のスクールにも参加させられるのだけど、
あんな強面かつタトゥーバリバリの兄ちゃんが
初っ端から子どもたちの輪に入って大丈夫なのかと思ってしまいましたw
そんな心配はよそに、子どもたちとはすぐ打ち解けて、
グループの暮らしにも馴染み、ルーベンの手話もみるみる上達。
手話のおしゃべりも盛り上がっていて、
素直に、ここ(頭)が健やかになっていくところに救われました。

齋藤陽道さんのドキュメンタリー映画、
『うたのはじまり』を観たときにもそう思ったのですが、
ろう者のコミュニケーションは表現豊かで見ていておもしろい☆
手話だけでなく、表情や雰囲気を纏って
健常者以上に全身全霊でコミュニケーションしていて、
人と交流することをニュートラルに、ピュアに、やっている感じがする。
だから打ち解けるのも早いのかなぁ。

終盤、インプラントの耳で聞いた雑音だらけの世界がまたショッキング。
苦楽を共にしてきた二人に
それぞれの居場所が見つかることを願いつつ、
やさしさに包まれたエンディングでした。
かわちゃん

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