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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のKのレビュー・感想・評価

3.7
辛い。救いがあるようで全く無い。トリアーのほうがまだマシに思えるくらい。これがリアルだと言われればそれまでだけどもう少し手心を加えて欲しい。何せ自分が日頃かなりの時間イヤホンやらヘッドホンやらを装着している人間なのでおよそ他人事ではなく、明日は我が身明日は我が身明日は我が身……と頭の中でずっと警鐘がうるさかった。分かったよ。もうちょい耳労わるから許してくれよ。HSPの気があるから寝る時いつもホワイトノイズ流してるんだけど、ルーベンの耳がおかしくなった時の音の聞こえ方がそれに似過ぎてたのが余計怖さに拍車をかけてきてたまらなかった。イヤホン非推奨映画。ある意味では推奨したいところだけど。初めて朝5時の課題に臨む場面が好きだった。ドーナツを思い切り叩き潰してテーブルの上に散らばったのを即座にまとめたかと思ったらもう一度叩き潰してまたスッとまとめ直す。そして「馬鹿げてる!」って叫んだのちにすぐさま「馬鹿なのは俺だ……」と反省する。ルーベンという男がどんな人間なのかが最も端的に表されている。しかし二人がやってた音楽は絶対メタルじゃなくてハードコアだと思う、とメタラーとしてはタイトルに首を傾げない訳にいかない。あとマチュー・アマルリック。何だあの善意で丁寧丁寧丁寧に地獄の道舗装していく感じ。揺れたり震えたりしたわ。
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